仮縫いトワル補正の徒然
ビスポークシャツワークの中で、最も大切なのは
言うまでもなく、パターンです
シャツは、ウールスーツのビスポークと違い、アイロンによる整形が出来ないので
シルエット、フィットの肝はパターンで全てが決ります
今回は、scyltの特徴の1つでもある 3面構成のパターン補正に関して、触れてみたいと思います(scyltビスポークの紹介にもなるかな)
まず
最初の打ち合わせ&採寸で得た情報を基に、仮縫い用の1stパターンを作ります
採寸の数値でボディのサイズ感を確認するのは勿論ですが、同時に
お客様の身体の特徴を捉えることが大切になります
今回で言えば
こちらのお客様の身体の特徴は、①背筋が真っすぐ ②撫で肩 ③右肩下がり ④首の長さ(美的ポイント) になるでしょうか (肩先の位置も確認ポイントです)
上記の事を踏まえて、最初に作られたボディのパターン
①グレーの鉛筆のラインが、最初の仮縫いパターンです(青ペン は修正後)
解説すると
①背筋が真っすぐ(反身体) → 背丈と前丈の差寸を少なめに
②撫で肩 → 肩傾斜を強め (斜辺採寸法による数値を元に)
③右肩下がり → 左右肩傾斜の違い(仮縫い時から左右の差をつけるかは程度によりますが)
④首の長さ → 台衿を高めに
上記のポイントを加味したパターンにより、仮生地50/1 ブロードで仮縫いを作成します(おおよそ採寸打ち合わせから2週間後)
そして 仮縫い着用時の補正を行います
「極端なしわ」が生まれるのは、ボディに対するパターンの「あまり」ないしは逆に「テンション」がある訳なので、そこをピンで摘まみながらカット、ないしは、接ぎを開いて足りない分量を足して いきます。
ただし、「あまり」=「ゆとり」=「運動量」でもあるので、やり過ぎは禁物、原因と部位を確認しながらです
パターン上では、黒く濃いペンが修正のラインです
内容としては
①前胸上の幅が少し足りない → 身幅を+1㎝ & 袖山&いせを少し出し肩外周に余裕を
②脇に斜め上にしわ → 肩傾斜を左右別々にさらにとる(左:3㎜ 右:8㎜)
③袖をスッキリさせたい → 肘幅、カフス巾のカット(袖丈はご希望で長目の設定)
④肩甲骨の凸がヨークを引っ張る(特に左肩甲骨) → ヨークパーツに凸を出す&センターギャザーをヨーク全体に分散
⑤ウェスト幅を1㎝程カット → 「後身のみ」でウェスト分量を削る
⑥レングスカット
ポイントの肩回りのパターンにフォーカスすると
ポイントの 左右の肩傾斜の修正、肩甲骨の凸部分の対応が、パターン化されているのが見て取れます
また実は、横着してパターンに記載してないところもあります(笑)
左右の肩傾斜の差異による、アームホール寸のずれです。(袖山寸法は基本左右同じなので)
カマ底を少し下げる事で対応しますが、ここら辺は縫いで調整します。
こうした事は、ビスポーク、フルオーダーならではの細かい修正で、
小生は、いつも頭を抱えながら(笑)、もっとも美しくみえるシルエットと着心地の着地点を探し、こうした作業を行っている次第です
という事で
今月のブログは、ビスポークワークのメイン、パターン修正の徒然でした