京都出張 日本伝統技術”墨流し”
今回は、次コレクションに向け、新しい素材を探るべく、いや作るべく
京都出張に行ってきました
今回の出張テーマは、「墨流し」。英語で言えば、「marbling」
近年アート業界界隈(スケートボードや、アート作品など)で取り上げられている色加工技術になります
我が国日本での歴史は大変古く、なんと9世紀平安時代にもさかのぼり
「着物」の柄付けに、水の上に浮かべた「墨汁」を写し取るところから始まっているようです。
そして現在でも、着物、帯と人気柄の一つとして活躍しております
もちろん洋服のほうでも、名だたるデザイナーズブランド(イッセイミヤケ、ヨージヤマモト、Dris Van Notten など)がこの墨流しを使ったコレクションを発表しています
どちらもカッコいい・・
scylt としてどうするか悩みどころ
今回の出張で、実際に工房の使用する、
スペース、容器、原料、作業方法、テクニックを確認し、また少し体験させてもらうことで
自分の表現方法を見つけられればなと
では早速 その工房はこんな感じ。
プリント(捺染・抜染)、生地加工、アートワーク(絵描いたり)をお仕事にされているアート工房
シルクスクリーンの版、仕上がった生地を広げながら乾かすための干し竿など色んな設備が並んでますね
そして
今回の訪問に合わせて、中央に「墨流し」用の「容器:約110㎝×4m」を2つご用意頂いてます
工房の作品サンプル見本など。ろうけつ染め(バティック)も出来るとのこと
では早速、墨流しの作業に
まずは試し体験 50㎝×60㎝位の生地でやってみます
墨流しのやり方は
①容器に、専用の糊を溶いた水を入れる
②その水の上に、墨流し顔料をエアスプレー
③ ①の水を垂らすと顔料が弾かれ穴が開く&だんだん大きく広がっていく
④ 箸などで、顔料に動きを付けて柄を作る
⑤ 柄が出来たら、生地をそっと置いて柄を写し取る& すぐ上げて洗う
インスタでは、この柄を作っている所と洗いの動画をアップしています
試作品は 2種類
シルクの生地にBKの墨流し と ターコイズ×ピンクの墨流しは綿の80/1ローン
BKのほうは、土台の水の糊濃度が高く、柄の動きがゆっくりと大きく、水玉的な柄に向いてます
ターコイズの墨流しは、糊の濃度が低いので、柄の動きが早く、より流れるようなペイズリー風の柄が作れます
ただ、今回の試作品、柄を写し取るまではキレイに行ったのですが、洗いがうまくいかず・・
白場に墨が流れてしまいました・・・失敗です(泣)
ということで、感じを掴んで、本番の大きな生地:4m×生地幅で。
BK墨流し × シルクデシン16匁
まずは 4mスケールの大容器に専用糊水を注入 & BK顔料をエアスプレー
試作品と同じように、糊水を垂らしてイメージの大きさの白場を作っていきます
服になった時のイメージとして、白×BKの動きのある柄感を目指しいるので
なるべく白場が大きい方がダイナミックにカッコよくなるかなと。ここからさらに動きをつけるべく
2人がかりで、白の円にドライヤーで風を送り、うねらせていきます
手前と奥で、円の形が 変形してますね
そして小生自ら、さらに変形した円に動きを付けるために、箸でフレアを作っていきます
ということで、大きな白場には動きのある余白が、
そしてその周りに小さな大小のいびつな水玉が施された柄が出来上がりました
柄が出来たら、用意したシルクデシン4mを慎重に柄面に落としていきます
きれいに柄に写ってますね。空気が入っちゃってるところを少し手で押して、柄をつけてと
良い感じなような・・・ まぁ服にして初めてどうか、という所ですが。
最後に、隣にある同じ大きさの大容器に移して、シャワーで一気に洗いをかけると。
ということで、
現場での作業はこれで終了。
あとは、後日さらにソーピング(洗剤使用)、乾燥&プレス して完成と。
そして約一週間後、出来上がりの生地が届きました
また、白場が汚れた・・・・泣
初っ端から、なかなか思い通りにはいかないですな・・・
まぁでも、自分の当初のイメージがすべて正解というわけでもないので
服にしてカッコよくなれば、と。
次に生かせる要素も探しながら、もう何回かトライしないといけないですね
ということで、この柄のほかに、イメージだけ伝えて小生が帰った後に
工房の方だけで任せた柄がこちら
グレー×ピンク と グレーのグラデ
やっぱ全任せしてる方が失敗せんな・・・(笑)
ということでどんなシャツにするか、またここをたたき台にして、
コレクション用のどんな新柄を作るか・・ さらに悩みを増しながら
墨流しの徒然でした