リバーシブル・ネル作成

scylt/ 2月 5, 2025/ デザインの徒然/ 0 comments

ファッション界はここ十数年、老舗ブランドの復活・伝統の見直しに始まり、

古着・ヴィンテージへのリスペクトというテーマが加わり、ダメージ系デザインが潮流を作ってきた

そこにここ数年、シティポップ、90年代ポップソングや昭和歌謡への若い世代の再注目を背景に

90年代~Y2Kファッションという、より具体的なスタイルの揺り戻し現象が起き

グランジファッションもフューチャーされることになった。

となると・・ニルヴァーナ。

からのネルシャツ。

ネルは。フランネルの略、元は中世フランネル地方で発展した毛織物工業で作られた縮絨ウールを指しますが。。。

時代を経て、より安価に大量に作るために、コットンに起毛を加えてウール風に作り替えた”コットンフランネル”が登場。

逆に、ウールフランネルはフラノの呼び方に主流になったことで

シャツ生地のネルは、ウールよりコットンを起毛したタイプが多く、それゆえ

発色がキレイでバラエティに富む。

そんなネル生地の温かみのある色味とチェック柄を生地屋さんに見せて貰っていると

やはり作りたくなってくる・・・

そして、色と柄の選択肢が多すぎて・・悩んだ結果、この柄に決める

ネルシャツなら・・・まずは”赤系”が欲しい気分。

ウーリーなTOPグレーとの組み合わせ、チェックのサイズ感も上品で良い。 

だが・・・他の色も捨てがたい・・・

という事で、ドレスシャツでも作っているクレイジーパターンデザインにしてしまおう、

インスタ映えもするだろうと・・。

であれば、”赤”柄を中心に据えて、共通色を拾い馴染みを良くする・・ということで、

グレー系、BKで繋げることのできる”ベージュ”と”白黒” の2柄をチョイス。

赤、ベージュ、白黒 この3色を組み合わせることにする。

早速、生地が届いたら、組み合わせのシミュレーション

ある程度、生地を当てながら頭の中で組み立てるものの・・

前後分けるか、左右分けるか、ヨークを切り替えるか・・かなり迷いが生まれる。

ということで、実際にパーツ粗裁ちをして、ボディにピン打ちして最終決めていく

ウェスタンデザインの方は、パーツが増えるので、更に迷うww

ポケットや肩ヨークは地の目の向きがデザインポイント。どこの柄で裁断するかでも

雰囲気は変わる・・また、左右別の柄にするのであれば、横段をどう合わせるかも重要。

全ての判断がデザインのバランスを作る。悩ましいのだ・・

ただ。。。

ぶっちゃけ・・自分がこのネルシャツアウターをオーダーする立場に立ったら・・

2色で表裏を替える”リバーシブルデザイン”を選択するのではないかと思う。

だがブランドとしてインスタにアップする、お客さんに見て貰うとなった時に

2色の組み合わせとしても、柄組み合わせの参考になるだろうという事で、実験的に3色を使うことにした経緯があったので

自ら悩みを増やす、自業自涜なのである・・ww

さておき、こうしてようやくデザインを決めて、裁断&縫う準備を完成させたものの

裁断は、ほぼシャツ2枚分で、シミュレーションの手間も含めて通常のシャツの倍以上かかったろう。

また、縫製に関しても通常のシャツと縫い方が異なる

一番大きな違いは、2枚重ねの厚みを減らすために、

脇、袖、アームホールの折り伏せ縫い → ロック始末 

一般的に、シャツ縫製においてのロック始末は簡易縫製と思われてますが・・、

小生のような1人仕事の1着縫いとなると・・

通常使ってないロックミシンを棚から出してきて、糸を取り換えて、糸調子を整えて試し縫いを繰り返し、本縫い、全て縫い終わったら、また箱に入れて棚に片付けて・・と、省エネでも効率的でもない・・涙

ロック始末はあくまで、着心地を上げるための選択なのです

さて、縫い進めていきます。まずは、身頃から

そして、2つの袖。カフスは一つで、2つの袖を突き合わせて袖口で一緒に流し込む。

袖口の開きは、剣ボロではなく、ミリタリージャケットにあるような、三角マチ。

袖を2枚接ぎにしたのも、アウターシャツとして少し袖分量をスリムに出来る事と、この接ぎ利用の三角マチによって始末を軽くするため。

あくまで、着心地とパターンが優先で、柄切り替えデザインが目的ではない。

さぁ、顔となる衿。

衿もカフスと同じく一つ。2柄のボディを突き合わせて台衿の中に流し込む。

羽根衿の表裏と台衿の内外は、赤とベージュがテレコになることで、ひっくり返すと1色の見え方に

赤をメインに着ることになるイメージで、羽根衿裏のベージュは数ミリ控えるため、ベージュ表になるときはうっすら周囲に”赤”がはみ出る。 これは仕方ないので、これもこれで良しと割り切ろう。

最後に、合体と。

プレッピーなワッペンで、アメリカンテイストに。どっちが良いか・・・

ひっくり返して。左右どちらもボタンホールが開いているので、鼓ボタン仕様。

本水牛とナットの2種類を糸で繋ぎ合わせてます。

はい、という事で、ネル・リバーシブルアウターシャツでした。

このシャツ、綿フランネルの二重の為、かなり暖かい。

真冬は一枚では厳しいですが、室内ではこれ一枚で十分。外出る時は、この上にコートが着れるので

優秀なミドルアウターという感じでしょうか。

どこにも売ってないけど・・・オススメですww

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