デザインシャツのオーダー
scyltのコレクションラインからシャツをチョイスされたオーダーの流れをご紹介します
今回は、以前総合展示会にscylt を出展していた時にデザインのお仕事で声をかけて頂いた、アクセサリー会社の社長さんがご自身のブランドの展示会用に、シャツをオーダーしてくれました
scyltの元々のコンセプトが「1枚でサマになるシャツ」という所にあるので、こういう晴れの日のシーンで着用頂くことは、嬉しいオーダーになります。
まずは、採寸から始まりますが、一人でやっているので写真が取れず・・・次のステップ、仮縫い風景を
scyltのビスポークサービスはフルオーダーなので、仮縫いは採寸で出した数値をもとに、本番とは違う生地(50/1ブロード)でシャツを作ります。
縫い代は未処理、剣ボロを省略、釦の開け閉めはマジックテープという形で、縫製を少し簡略化していますが、それ以外は完全な丸縫いです。
スーツのフルオーダー(20~30万)でも、片袖を付けるのみで仮縫いを終わらせる事が殆どです。ただ、シャツの場合は、スーツよりも袖周りの運動量が求められますし、また特にscyltが目指すシルエットの美しいジャストサイジングの場合、運動量=ゆとり分量とシルエットのバランスは、かなり繊細なポイントを探し当てる作業になります。
「ボディはスリムに、でも動きやすく」そのため、しっかり両袖を付けた形で、腕の運動量が確保されているかの着用感を確かめてもらいます。
今回のデザインは、ウィングカラーをチョイスして貰いましたが、フロントのディテールを少し迷われてましたので、右と左で違うデザインを用意しました。(最終的に、ピンタックをチョイス)
右が2017コレクションのピンタック、左は2016コレクションのイカ胸×ステッチデザインです。(ホームページ;collection参照
今回の仮縫いでの調整作業は、1:肩傾斜の調整(左右違う) 2:サイジングの調整(着脱が少しキツかった) 3:レングスの調整(裾出し&タックイン兼用のリクエスト)でした。
やはり、採寸での数値だけでは分からない肉付きや、着用感の好み、使用用途を、仮縫いによってコミュニケーションをとりながら確かめていき、レングスや身幅の調整しながら、より完成度の高いシャツへ昇華していきます。
単なるビジネスシャツではない、ドレスシャツ、デザイナーズシャツの醍醐味とも言えます。
今回、展示会までほとんど時間がなく、盆休みを入れて2週間を切った状況。ピンタックを刺繍屋さんに出している時間も無かったので、自らピンタック作りも。一般的なミシンのアタッチメントを組み合わせて、ピンタックのグラデーションを作り上げました。
scyltのデザインピンタックは2種類の幅違いを並べていますが、これを刺繍屋さんでやる場合は、2つを真ん中で接ぎ合わせるしかできません。
一方、自分で作る場合には、接ぎ合わせではなく1枚布で2つの幅違いのタックを切り替えることが出来ます。(その代わり、タック幅と本数は変更調整していますが)
生地は、scylt白シャツ定番の生地:Thomas masn;120/2poplin 以前もブログで紹介してますが、scyltの理想を実現する最上の白シャツ生地です。
部位による芯のチョイスなど、幾つかバリエーション試作を確かめながら、なんとか完成!
ボディだとこんな感じ
ボディは3面構成で脇にパネル切り替え、グラデのピンタックに、ボタンはフォーマル仕様のスタッズ留め(スタッズも台衿部は、scyltオリジナルデザイン&ギボシ(ベルトやバッグに使う)で)。カフスはカフリンクス対応のシングルカフ。
僕自身、最も好きなデザインの一つです。
ご着用写真
白のモノトーンスタイリングでかっこよくまとめてくれました。
「シャツ一枚でサマになる」を実践してくれてます、ありがとうございます。