白シャツ生地 入荷!!

scylt/ 10月 25, 2016/ ビスポークの徒然/ 0 comments

14772303537220scylt シャツの生地ようやく入荷!!

Thomas mason  「Portland120」 120/2 poplin

今まで見てきた数あるシャツ地の中でも、僕自身がシャツに求めるクオリティを十二分に表現してくれる生地。

scylt の表現する modern / classic ⇔「ラグジュアリー・クリーン・コンテンポラリー」に最もふさわしい生地。

そして、着る人に「感動」を与えうる生地。

やっとイタリアより到着です!! しかし長かった・・・

 

Thomas mason  と言えば、業界人だけでなくとも シャツ好き、服好きの人であれば、たいがいは知っている18世紀末創業の超名門シャツ地メーカー。(今はイタリアのAlbini社に買収され、純粋な英国メーカーとは言えないが・・)

日本では最近、シャツメーカーFairfax さんが大体的に取り組み、別注ネームを作って店頭に並び、知名度もさらに広まっています。

そんなシャツ地界の雄:Thomas mason 品番の中で、scyltの定番白無地として選んだのが、この portland120 です。

生地のクオリティは、一般的には繊維の細さで決まります。高級シャツの代名詞、いわゆる「超長綿」:繊維自体が細くて長いほど、毛羽が少なく肌触りが良く、生産数も少なく、加工は難しく、つまりは値段が高いという事になります。(とりわけ有名なのは、「海島綿:シーアイランドコットン」=「繊維の宝石」)

Thomas masonでは、糸の番手、織り組織、経緯密度によって、さまざまなバリエーションの品番が存在し、また、同じ糸番手・組織でも、糸自体の品番=種によって、クラス(gold lineの存在など)、品質が分かれています。特に彼らは、エジプトの超長綿GIZA糸を、自社の畑を有し、栽培管理、生地への加工まで一貫生産して、ハイエンドラインを作っています。

今回の portland 120は、 ドレスシャツのメイン:80番手を基本とすると、100番、120番 と、2段階格上の細番手の糸になります。もちろん、その上には、140、180、200、300番手もあり、今や400番手という糸も開発されているとか?(高級細番手の糸となると、糸自体の品質も問われ、先ほどの海島綿ーシーアイランドコットン がよく登場します)

では、なぜ この120番 を選んだのか?

細ければ細いほど、200番、300番手のほうが良いシャツ生地ではないのか?

答えは NO です。

そもそも、

シャツ好きな人にとって、その理由は様々にあると思いますが、

僕にとってそれは、

アイロンの利いたシャツに袖を通す時の一種の緊張感、上質な白シャツが持つ、ラグジュアリーなドレープと光沢感 です。

その意味で僕には、シャツ地の「基本」は、ポプリン=ブロード=平織だという信念があります

このポプリンの平織自体の持つ特性は、その組織形成上(経緯を交互に、経が緯の2倍の密度で織る)、最もシンプルでフラットな顔を持ち、それがゆえに:適度な「張り感」と「しなやかさ」そして「クリーンな光沢感」をもたらしてくれます。

そしてこれは、そのシンプルさゆえに、他の織り組織では表せないオーセンティックな表情なのです。(例えば、経と緯を同じ本数のタイプライター織りは、密度がより高まるが故に「張り感」が増し、「しなやかさ」が失われます)

では、200番手、300番手となるとどうでしょう?

糸番手が120番を超えてくると、糸の細さ、繊細さゆえに生地にしたときに、より薄くなり、そのため、ポプリン織では向こうが透けて見えるようになってきます。生地としてはそれも一つの特徴になり得るのですが、ドレスシャツとしては、透けは好ましくありません。

そのため通常は透けさせない為に、組織自体の変更、地厚感のある組織:ツイル(綾織)、オックス、ドビー(柄組織入り)に変えざるを得なくなります。そしてこの綾織りやオックスという組織が、その性質上、柔らかく、ドレーピーになる一方で、張り感を失っていくのです。(ドビーは、無地で無くなります)

鎌倉シャツでも、今や200番手を全面に展開していますが、生地の柔らかさ、肌触りは確かに良いものですが、張り腰あるものはどれ一つもありません。仕方はありません、それが売りではないのですから。

僕がシャツに求めるのは、「柔らかさ」ではなく、「張り」です。

ポプリン織りこそが持つ、「しなやかな張り」、そして、着る人に与えるプレッシャーと、同時に与えてくれるラグジュアリーを求めているのです。

その意味において、細ければ細いほど高級な生地=良いシャツ生地 というのは僕にとって成り立たないわけです

portoland120 の特筆すべき点は、120番手という透けギリギリの糸の細さを、織り密度でカバーし、それにより、同時に滑りもさらに向上させている点です。

だからこそ

この生地こそ「最高級の白の無地」 と自信を持って言えるわけです。

百聞は一見に如かず、どんなに説明しても、一度触ってもらえれば分かると思います。

メッシのプレーはサッカーの知らない人でも、なんとなくその凄さは伝わります。もしテレビではなく、生のプレーを見たり、一緒にプレーしたら猶更です。

それと同じように、本当に上質な生地というのは、例え服や生地に無知な人だとしても、触れば分かるのです。なにせ、圧倒的に違うのですから。

PS 実は以前、この生地品番のシャツを知らずに持っていました。銀座の老舗オーダーシャツ屋:大和屋さんでシャツをあつらえた時に、白無地を探し、見つけた「感動の白ブロード」でした。「滑り」が段違いだったのです。

生地屋でportland 120 を見つけた時には、すぐにその時の感触がフラッシュバックしました。これだな! と一瞬で悟りました。

その生地がやっと入荷したのです

 

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