デニムシャツ ~洗い&脱色~ 最終編
前回のデニムシャツ縫製に続き、最後の仕上げ「洗い編」
今回のデニムシャツ企画は、「生デニム」から品のある色落ち具合で、「ドレスシャツ」を目指す、という事で
前々回にもUPしていた デニム生地カウンター(下記写真)のグラデーション色の一番下の「ブルー」を目指して脱色していきます。
今回は、全て独力での挑戦という事で、薬局で手に入る脱色剤「ハイター(衣類用)」を使用します
まずは結果画像から、こんな感じになりました。
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フロント
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サイド
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襟&アームホール
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衿
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カフス内側 &裾 の「あたり」
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アームポケット
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カフス&ギャザー
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ガゼット
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アームホール:ハンドまつり縫い&袖山ギャザー
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フロント前立て:ハンド手まつり
どうですか? 良い感じになったような気がしますが
以下、どのような条件で、洗いを行ったか?
そしてそれとともに、問題点などを「洗い出し」ます。
①まずは、水洗い。
前回のブログ通り、生デニムは、とにかく触っただけで色が移るレベル。という事で、まずは、水洗いで表面的な染料を洗い流します。勿論、洗濯機の使用は、洗濯槽自体が青くなってしまうのでNG。
②折角なので、色がさらに落ちやすい お湯洗い
「染料」でも「汚れ」でも、お湯の方が良く落ちる、という事でお湯で手洗い。
ここで、第一回の決定的な悲劇が・・・
「縮み」です。そもそも、「デニムは洗いで縮む」のは、常識・・・だったのですが、ちょっと舐めてました。。
ていうか、「お湯」は、ダメでした・・・
一応、生地屋さんの持っている縮率データでは、「水洗い」縦:約2% 横:約2% と出ていました
実際は、「水」と「お湯」で3~4回くらい、手洗いした挙句・・・
ネック:38.5→37.5㎝ 胸囲:103.5㎝→102㎝、着丈:69㎝→67㎝
幅が2%、丈はすでに3%ほど縮んでおります・・
元々、裾出しタイプのシャツで、レングスを短めに設定していた所、更に短くなってしまいました・・・
「色落ち」としては、生デニムの「黒味」が落ちて、多少「青さ」が出てきた感じです。
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右が元生地、左側と袖が洗い後
ここからは、本格的に脱色するために、ハイターを使用します
③ ハイター
a:ハイター キャップ2~3杯
たらいに水:約8リットルを張り、ハイター50ml × 約2時間ほど。
→自然乾燥 → 殆ど変わりません
b:ハイター キャップ4~5杯
たらいに水:約8リットルを張り、ハイター100ml超 × 約3時間 水が染料の茶で濁りだします
→自然乾燥 →色は殆ど変わりません
c:ハイター キャップ 7~8杯
たらいに水:約8リットルを張り、ハイター 約200ml。×約4~5時間 水が染料の茶でさらに濁ります
→自然乾燥 →まだ色は殆ど変わりません。
ここまでは、上記の写真とそれほど本体色は変わりませんでしたので、一気に配分量を上げていきます
d:ハイター まるごと1本
たらいに水:約8リットルを張り、ハイター 600ml(全量) × 約4~5時間 途中経過でも、色が落ちているのが初めて分かります。
色はかなり落ちました・・・
が同時に、 「一つ目の問題点」: 数回に分けた、脱色で更に縮みました。
乾燥は、手で絞った後に室内にて自然乾燥させただけ。洗濯機や乾燥機は使っておりませんでした(beforeの写真は、フロント丈詰め2.5㎝の修理前の状態です)
縮率データ
①ネック:38.5㎝→ 水&お湯洗い:37.5㎝→ 脱色洗い:36.5㎝
バスト(袖下):103.5㎝→ 水&お湯洗い:100㎝→ 脱色洗い:99㎝
ウェスト:84㎝→ 水&お湯洗い:83cm→ 脱色洗い:82㎝
レングス(後身):69㎝→ 水&お湯洗い:67cm→ 脱色洗い:65㎝
袖丈:61.5㎝→ 水&お湯洗い:60cm→ 脱色洗い:58㎝
という事で、縮率データとしては、
巾:2~4%(部分により差異有り) レングス:6%
「二番目の問題点」: 脱色のムラ
ネットなどを調べ、ハイター脱色の方法を見る中で、なるべくムラにならないよう土台の水の量を多めにしていたつもりでしたが・・・限界がありました。
原因A : たらいの大きさ:30㎝直径×深さ:17㎝
原因B :水とハイターの配分量 と 浸け置き時間の長さ
によるものかと思われます。
ハイターの量が少ない時には、色があまり落ちない代わりに、ムラは出ませんでしたが、ハイター1本使った最後の段階でムラが出てきてしまいました。
背中辺りが一番酷いのですが、これはおそらく、水面に少し浮かんでしまっていた部分のような気がします
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衿のムラ
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フロントのムラ
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背中のムラ斑点
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衿内側のムラ
解決策:① 出来るだけ大きい容器で行う
②ハイターと水の配分量を、慎重に調整する
③浸け置き時間を短くし、脱色を段階的に行う
→ と言うことで、改良されるのではないか?と思っております
が
最終のscylt の結論といたしましては
素直に、「プロのデニム加工屋」に預けるという事でした。
ありがたいことに、サンプル1枚から可能(割高な加工賃が発生)との事で、
次回は、
①縫製前に、水洗いで軽く縮ませる(お湯はNG)
②最終の洗い縮率を計算して、パターンを大きく作る(今回の生地:タテ4% ヨコ3%位は見積もろう)
というイメージで、再度、プロに任せたバージョンの試作品を作りたいと思います。
期待しておいてください。
自分のサイズにあった、「デニムのオーダーシャツ」を、さらに「色落ち具合もオーダー」出来たら嬉しくないですか?
ご興味ある人は、お問合せ下さい。(新年明けて、試作品後のご対応になりますが・・)