デニムシャツデザイン 前編
今回のブログは、昔からのお友達からのオーダーで
以前作った「デニムシャツ」を元に、デザインを任せて?もらいましたので
それを徒然しようかなかと。
という事で、「任せられたのなら、それは自由・・・」、
一度やってみたかった「デニム×刺し子」 に挑戦してみようと。
かなり自分勝手です (笑)
本オーダーでありながら、「初デザイン」という・・・「無責任」さ!
でもアーティスト(?)にはこのマインド必要ね。
だから 超真剣!
という事で
「刺し子」と言えば、Porter classics。ものすごいモノを作っておりますが、
小生の場合は
「刺し子」というハンドステッチ技法を駆使して、「らしい」シャツを作ると。
自分のフィルターを通して、どうするのか? そこを追求する。
どのデザインを作る、考える時にも
常に、「s c y l t らしい」のか?を遡って問いかけます
小生にとって、 s c y l t とは
一つには、「エレガンス」というテイストであり、
一つには、「モード」という「新しさの提案」がアイデンティティにある。
だから、「やってみる」事は大切、そしてその土台での「品」の有無を意識する。
百聞は一見に如かず → 百デザイン画、一トワルに如かず。と
実際の布を使って作ってみて、当初のデザインアイデアの妥当性を考察し、
突き進むのか、方向転換か?よりベターな見せ方、バランスを探る
だから手を動かし、足を動かすと。
と、前置きが長くなりましたので、ここからは一気に写真でストーリーをお披露目
まずは、土台のデニムシャツ。
こちらは以前にもブログで紹介しているので、出来上がりで。素材は前回と同じ
岡山の有名メーカー KUROKI さんの 薄手の定番生地
今回は着用者(お友達)が猫背気味で、肩甲骨当たりの肉のボリュームがあるタイプだったので、
背中ヨーク下は、全体ギャザーでゆとりを確保するデザインに。
背中スッキリしている人は、センターギャザーにしたりと、その都度、体型と好みを聞きながら使い分けてます。
この時点で、前回のブリーチで学んだ「綿糸ステッチ」は薄ピンクに色落ちするというのをデザインに落とし込み
脇の折り伏せ~裾周り、前立ての裾部ステッチ、ガゼット を綿糸に。
それ以外の箇所は、漂白でも色落ちのしないポリエステルスパン糸を、漂白後のボディ色のイメージしながら選ぶと。
特に、ボタンホールはステッチが集まり色が目立つので、今回も製品上がり後にと。
ここから「刺し子」チャレンジ
どんなデザインにするか・・・悩んだ挙句
scylt といえば、 「タキシード」 。
という事で・・・ 後程 写真にて
まずは 専用の 針と糸を用意。分かり易く、他の用途用も用意。
折角なので紹介も
一番上は、
① フランス刺繍針 × 工業用ミシン糸5000m巻:エースクラウン#60糸
フランス刺繍針は、縫い針の中で最細の部類。細く弱いので、使用してるうちに曲がってます(笑)
「エースクラウンの糸」は、工場でも良く使われる高級糸メーカーの一つ。(なぜか、小売りの小巻#90より細い)実際の現場では#50番糸、もう少し太い糸を使う事が多いかな
なお、この組み合わせは、s c y l t ビスポーク、アームホールのハンド始末で使ってます。
高級細番生地(定番120/2ポプリンとか)を使う事が多く、それらは針穴が残りやすいので、なるべく針自体を細くして目立たなくする為です
② 一般的な手縫い短針 × 工業用ミシン糸5000m巻:マナード#F80
小生のシャツ縫製の際に使用する、ミシン糸
少し毛羽だっているのが特徴で、生地を絡めて縫いながら一緒に引っ張てくれます。その為、上記のつるりとしたエースクラウン糸よりもピリつきを抑えられる能力が高いと。
じゃぁ工場はみんなこれを使えばと、なるのですが、
値段が高いのと、ミシン縫製における耐久性が弱い(縫い中に糸切れする)。
月に何十万mも縫い、スピードが命の工場にとって、ここは大切なポイント。
そのため、メーカー指定でもなければ使われない「高級ミシン糸」と言えます。
③ 一般的な手縫い針(長) × 絹穴糸16号
小生がs c y l t ビスポークでシャツのボタン付けをする際に、使う糸と針の組み合わせです。
シルクの綺麗な表面感が、下の「刺し子糸」と比べると分かり易いですね。
通常、ボタン付け用の手縫い糸は、「ポリエステル」が一般的、こちらも表面が毛羽立ち、糸同士の絡みを良くしてるので使い易いです。(ただ100円ショップの手縫い糸は、耐久性が弱いのでおススメできません)
あえてのシルク糸・・・ 以前ブログで触れましたね
④ 太番手刺繍針 × 刺し子糸(生成り)
普通針より、少し太い位。使用する糸の太さに比例して、「こぎん刺繍」用など、もっと太いタイプもありますが、今回のデニム地には出来るだけ細い方がベターですね
「刺し子糸」は、毛羽立ち、甘撚りが特徴で、糸自体に膨らみがあります。仕付け糸のようにも見えますが、強度が全然違います、手ではちぎれないレベル、耐久性の強さをうかがわせます。
と、糸や針だけとっても、色々な種類とメーカーが存在し、それぞれの用途で使い分けが求められます
という事で
④:「刺し子糸」を使用し。さらに「2本取り」で、より太くして縫い込んでいきます
刺し子修業した事ないので、正式なものがあるのか分かりませんが・・、
言っても「真っすぐなハンドステッチ」なので、「波縫い」か「返し縫い」くらいとかなと思っていましたが
調べてみると、どうも・・・単なる「波縫い」ではなく、「垂直」に針を上下させる「刺繍縫い」こそが「刺し子」であるように思われます
(また、本来は規則正しく並ぶように、下地に案内線も必要)
ただ、今回の初チャレンジ、まずは「見た目」の雰囲気を完成させるのがポイント、ここはスピード優先で通常の「波縫い」で進めます
とにかく、量を求められる「刺し子」、がんがん縫っていきます
ちなみに、出来上がりに膨らみが出来るように、下地に厚手の別生地を敷いて、一緒に縫い込んでいきます。キルトパッチワークの中綿のイメージ、凹凸をつけるのが目的です
いやしかし、時間かかる・・・
porter classic の写真のジャケットが25万超える(とあるサイトで)のは、そりゃそうだと・・・
という事で、ひとまず完成。。
「タキシード」的な「ブザムデザイン」を刺し子で
ここからブリーチ掛けて色を落としていく予定なのですが、
実際どうなの・・・? イケてるの・・・・?
ありなの? なしなの?
・・・もはや、分からない。
ていうか、ここまで来たら戻れない・・・
誰か「いいね!」と言って・・・ と独り祈りながら
次回に続く