三つ揃え~シャツ屋~
三つ揃え、スリーピースと言えば、
ジャケット、ベスト、パンツのスーチングが一般的ですが
シャツ屋が作るなら、
シャツ、ベスト、パンツ の黄金スタイリングでしょ? と。
当初は、シャツとパンツの同素材スーツを作りたいという所からスタート
スーチングとなると、シャツ地でパンツを作るのは心もとないので、パンツの素材が先にありき。
ある程度しっかりした生地、中肉のコットンリネンツイル(イタリア製:メーカー不明)をチョイス
グレージュの色味にひかれまして。
シャツは中肉素材なので、タックアウトできるショート丈タイプ。となると、衿も少し
カジュアルでいけるようなイメージでボタンダウンに。最近はボタンダウンのボタンをあえて外すスタイルがイタリア洒落親父から流入してる模様。
少し衿先を長くして雰囲気を出しておこうと
(パンツは、クラシカルなハイウェスト予定なので、シャツは短丈でもタックインもイケる)
胸元にはワンポイント。シーリングスタンプの本物(専用の蝋を火で溶かして、刻印スタンプを押す:インスタに動画あり)。こちらは、オーダーシャツのギフト券作成の際に使っているスタンプそのものです
シーリングワックスは、布に染み込んで付いているので水洗い位では取れないほど接着力は強いが、アイロンなどの高温熱には滅法弱い!
このシャツにアイロンかける際には、カバーをかけて直接アイロンが当たらないように注意しなければいけない(苦)
一方パンツは、クラシカルなハイウェストタックのテーパードパンツ
トレンドは、サイドかバックにアジャスター×フロント持ち出しロング というベルトレスデザインだが・・
今回はあえてのベルトループ付き。ベルトを変えてスタイリングにアクセント付けられるのは、やはり良いですよね。
デザインは、ヴィンテージ・ミリタリー仕様で、ウェストベルト切り替えのない見返し仕様&ボタンフライタイプ。
フロントチェンジ(コイン)両玉ポケットでワンポイント。(ベルト切り替えないからできる両玉縁仕様)
ポケット端は、ハンドステッチしたり、カンヌキ留めもハンド仕立て。こうしたディテールも
ヴィンテージ感やアルチザンを出せるポイント。裾はダブル仕立てでカジュアル寄り。
シャツとスーツで着るとこう。
あれだけ言っておいて・・・ベルトでアクセントを付け忘れた不完全スタイリングw
今回はモノトーンコーデメインってことで。
そして最後に、ベスト。米国でvest 、英国では waist coat 、フランスではgilet、日本ではチョッキ。
ていうか、チョッキってどこの言葉?
いくつか説があるようで、ジャケットが訛ったとか、ジャケットの下に「直接着る=直着」とか
・・。おいおい・・ていう日本の外来語あるあるです。
それはさておき、改めて。
ベストはシャツの相棒です。
シャツスタイリングの表情を大人っぽくスタイリッシュに変えてくれるので重宝し、小生も色んなデザインを持っております。
ただ・・現行既製品としてはベストをメインにしているブランドはほとんどなく、ベスト単品を探す際には割と困ります。
その数少ないブランドの中では、イタリアのBevilaqua(べビラクア)が素材の質・ヴァリエーション含め、一等使いやすいように思います。
値段は4万円前後するので、まぁまぁなところ。
ただ・・値段の割には・・・内部の仕様は、ただの接着芯・・。
表地はヴァリエーションがあり、ウール、シルク混、リネン、コットン、の組織柄、ドビーやジャカード、ツィーディまで色々あります
そうした様々な素材の風合いを生かすなら、接着芯よりは毛芯タイプの方が向いているはず。
なにもハンドで据え付けろとか求める訳ではなく、既製品スーツで使用されていているような
既製の毛芯や肩増し芯、胸増し芯などはいくらでもあり、今なら据え付けも機械で出来る。
接着芯よりは大分良い。
このべビラクアのベスト製品の内側の仕様をチェックしたときは、ちょっと残念でしたね。。
ということで、
自分で作るなら、接着芯ではなく、もちろん振らし芯でトライ。
デザインは、ヴィンテージ古着のラルフローレンのレディスのダブルブレストを改良と。
出来上がりはこんな感じ
背中はキュプラ裏地のストライプ柄。トーンを崩さずに、同系色で。
ポイントの振らし芯は、今回は、シャツの衿やカフスなどに使用している綿混率の平織りタイプ
厚みと硬さで品番が分かれているので、
身頃とラペル衿で芯を使い分ける。(ラペルの方が硬い)
本来は同じリネン素材の方が、薄くても張りがあり、向いている気もするが。。。
ちなみに、テーラードジャケットの作りであれば、ラペルの芯と表地据え付けにはハザシで返りにロールを付けながら行うが、
そこまでやるといよいよ大変・・・なので
衿切り替えの根本あたりにハンドステッチの返し縫い1本で裏から留め付けていく。
衿周囲は表地と一緒に縫い付けられ、ハンドステッチもぐるりとはいるので、芯が動くことはない。
これで十分だろう。
身頃の縫い方はいくつかあるだろうが、
今回は、外面(表地)と内面(裏地)をそれぞれパーツ縫製。
脇を開けて、中表でアームホールまで縫い合わせたら、あとは脇と裾を縫い繰り返す
出来上がりをボディに着せるとこんな感じ
ボタンは昭和の手芸店のデッドストック・アンティークボタンを採用。味がある。
ベストの縫製に関しては、いくつか反省点がある。
ラペル用の芯をしっかりさせてようとした為に、表地との合わせで厚みが出てしまい、
衿の返り=外回り分量の余裕が少し足りなかったところ。ラペル衿端が若干反り気味・・・
振らし芯の難しいところは、この素材選定にある。。と言える
ということで、今回はシャツ屋のスリーピースを紹介の徒然でした。
お付き合いのほどありがとうございました