袖パターン の徒然
今回は、袖パターン、「袖山」に関して、徒然。
とある、業界では著名なパターンナー講師の方、曰く
袖山のカーブは、あまり意識する必要はない。袖はボディの側面にくっつける「筒」だから、筒の面がフラットになっていれば、大丈夫! という。
この方は、工業パターンナーとしての心得、「量産型パターンとは、アイロンワークを無しにスピードを意識した形作り」を意識されているので、上記のような袖パターンに対する解釈が出てくるわけですが・・・
一人一人身体の特徴に合わせて、服を作るオーダーでは、これだけではやっていけません
当たり前か・・・
ということで、ジャケットとシャツのパターンのブログの時に、少し触れていた
袖パターンに関して、もう少し補足を。
向かって右がフロント、向かって左がバックになります(実は、このパターンの「前後」の引き方も、習う所によって違います。日本のアパレルの一大勢力、文化服装出身の人は、右左逆ですね)
袖山のカーブが 赤と青のラインに分かれています
青ラインは、前のクリが小さくなり、山の頂点が前に1㎝以上移動しています
カマ底の前(向かって右)のクリを、ボディのクリに合せたカーブを描くと、クリがすぐ終わり、山に向かおうとこのような形になるわけです
実際、このクリのカーブがマッチしている方が、袖の運動量は数段上がります
少し脱線しますが・・
このカーブを合わせる作業というのは、シャツのボディシルエットに対するメーカーの考え方そのものに左右されています
と言うのも
この身頃の袖カマ底のクリ自体は、そもそもショルダーポイントからうまれるカーブ
という事は、ショルダーポイント(肩幅)の位置決め + 身頃のアームホールのカーブ
=シャツパターンの身頃 → シルエット という繋がる訳です
ジャケットとシャツパターンの回の時に述べた所ですね
話を戻して・・
この袖山凸部分が前側に出るカーブは、前肩タイプの人に良くはまります。
上図一番左で分かるように、肩先が前にでて、逆に後ろ側は削られて猫背になっています
この身体の構造を、そのままパターンに反映させるわけです
ちなみに
通常の赤ラインのパターンが、工業パターンに近いニュートラルとすると、このパターンを前肩の人(程度によりますが)に着てもらうと、肩先が当たって、首の後ろ辺り(ヨークパーツ)から生地が引っ張られます。(また、身頃パーツはその分余るので、首から斜め下にたすきジワも入ります)
逆もまたしかり。
引き肩、反身体の人の場合は、前身頃の生地が足りなくなるので、第一ボタンから、肩にかけて斜め上のしわが現れます
よく、
日本人は前肩タイプ(≒猫背)が多く、外国人は引き肩寄り(≒反身体)と言われます。農耕民族と狩猟民族の違いが世代を経て、骨格的な形成をなしていると。
ただ・・
最近、観光に来る外国人の身体をよく観察するのですが、なんだかんだ外国人も前肩タイプが多いなぁと思っています。
数万年を要して作られた骨格が、ここ数百年で顕著に変わることは考えられないとすると・・・、日本に来る外国人は文化好きで、猫背タイプなのかな・・?
という事で?・・・
ビスポークの場合は、こうした身体の特徴に合わせて、袖山自体を変え、
「着心地」と「佇まい」を向上させる作業をするわけです
袖パーツに関しての徒然でした