リメイク:ミリタリー*Barbour

scylt/ 1月 10, 2022/ よもやま/ 0 comments

年末年始、少し時間があったので、昨年よりあたためていた古着のミリタリージャケットのリメイクを

やろうかなと。

こういうお仕事をしていると、古着の購入をお店やネットでちょこちょこするのですが、

着用目的か、デザインや縫製見本か定かでないまま、気に入ったから買うみたいな事もよくあります。

この下北沢の古着屋で購入したミリタリージャケットもその類で、

着れるし、デザイン見本にもなるし、さらにはミリタリーアイテムには珍しく、

自分のサイズ(海外で言えばXS)にピッタリだったので、即購入を決めた記憶を思い出します

縫製は、ミリタリーにしてはかなり雑な所や、後から付け足したような痕跡(腰ポケットの色が違う)もあり、

経緯や出所が怪しさはあるものの、状態だけは新古品のノーダメージで、これも購入を決めた要因でしたね

商品的には、腕の上がりやすいように、身頃の脇パネルが切り替え無しに袖までひとつながりになっているパターン(マチの考え方と同じ)、

脇の通気性を上げるハトメカン、裾絞りを調整できるゴムアジャスター、

猛烈にでかくステッチ補強されたエルボーパッチ、袖口のマチなど

まさに特殊な環境・機能に依拠したパターニングとしてのミリタリーアイテムを象徴し、

男心とデザイナー心をくすぐりました。

ウェストの絞りもいけてますが、こちら固定式で調整ができない・・・

ということで、

この時点で、「修理」をしなきゃなぁと思っておりました。

またもう一つ、このジャケットで気に入らないところ、衿の「星ワッペン」。

これがあるとミリタリーの癖が強くなりすぎてしまうので、着用を敬遠しちゃうのでね。

そこで、今回はこの2点の「修理」を、もう少し進化させて簡単な「リメイク・リデザイン」に。

どうせなら、今トレンドの「Barbour 風」に変えちゃおうと。

半日作業ですね

ボディはカーキでそもそもBarbourに近いので、あとは襟をコーデュロイに変えるだけ。

でも、雰囲気は大分変りそうで期待大

ということで、まずは素材探し。

ポイントはいかにBarbourに近づけるか? というところではコーデュロイの色、風合いはポイント

Barbourは、カーキのボディにダークブラウンの配色コーデュロイ。

イメージがしっかりあるだけに、その素材を探すのは簡単かと思いきや・・・

これが意外と逆! 

通常のデザインでもいえることですが

素材からインスピレーションを得て、デザインを考えるはスムーズにいくのですが

先に元サンプルやイメージがはっきりとあり、それを実現させる流れでモノを作ろうとすると

イメージが正確であればあるほど、素材やディテール、パターンに対するリクエストが多く、細かくなり

製品作成のハードルが上がっていくのです

アパレルメーカーでは、インポートの製品や素材を、生地屋さんでイチからリプロすることもありますが

同じような糸、同じような色、同じような加工を元に作ったものの、似て非なるものが出来上がってしまった

ということはよくあります。

生地屋さんのセンスや技術の問題もありますが、そもそも糸や色の原料、加工方法から、物性の許容範囲までかなり異なるので、同じものができるわけがないのです

それはさておき

ということで、こんな個人的なリメイクだとしても、というか、個人的なればこそ

「こう言うのが欲しいと決まった素材」を探すのは難しいわけです

実例で言えば、

この前シャツのオーダーで、赤黒バッファローチェックのシャツが欲しいというリクエストがあり、まぁ製品でもよくあるので、素材も結構あるだろうと思ってタカをくくって探し始めましたが、実際はかなり苦労しました。

というのもお客様の中で、チェック(格子)のサイズのリクエストが1~1.5㎝位の小さいタイプとはっきりとイメージがあったため、これに当てはまるタイプが全然なかったのです

何社か生地屋さんに声かけて探してもらって、いくつか出てきてたのですがチェックは大きいものが殆ど。

結局日本の生地屋さんではオンライン含めて見つからず、最終的にはアメリカのオンライン生地屋さんから取り寄せることになりました

そんなこんなで、大手の生地屋さんをあたっても、やはりというか・・

このBarbour風のコーデュロイ:つまり 色、畝の太さ、風合い(素材混率含めて)を含めると

ふさわしいものがなかなか見つかりませんでした

まぁ衿だけしか使う予定がないし、個人的なものなので生地値が高いのも選択肢から排除されるので

さらに難しくなるんですけどね

ということで、生地屋さんで手配するのをあきらめ、ミリタリージャケットを購入したと同じように

古着屋さんでコーデュロイアイテム(パンツ)を探す方が早いかなと切り替え。

下北沢で有名?な all 700円の古着屋さんへgoと

ちょうど冬の時期、コーデュロイパンツは店頭に数多く並んでいるので、選択肢はある程度あるかなと

ということで、見つけたのがこちら

色が少しイメージよりも黒いので、ちょっとどうかな・・とも思いましたが、まぁ許容範囲ですね

では早速 リメイクへ

まずは、1:衿を取り外し&解体  2:衿パターンを抜いて&コーデュロイを裁断

 上衿と衿腰のパターンの分解で、パターンの勉強にもなります

パンツの裁断も、場所的に膝あたりは畝が潰れているので、太もも辺りの状態の良いところをチョイス。

次に、3:コーデュロイ上衿の縫製 4:地衿とコーデュロイ上衿との縫製

地衿の芯は、接着芯ではなくもちろん、フラシ芯&補強ステッチ。歴史・耐久性を考えれば、ミリタリーとしては当然ですかね。

最後に、5、衿と本体の合体:身頃内側と上衿の地縫いを入れてから、落としミシンですが、

衿は折れるのが前提のため、内輪差&外輪差を計算しながら縫わなくてはいけないところが難しいところ。

これを無視して縫うと、地衿端が上衿端から食み出てきたり(特に上衿と地衿が配色なので目立つ)

外を回る上衿が上手に返らず端が跳ねてしまったりします

その意味では、キレイに仕上げる為には最も大切なポイントと言えるかもしれません

そこで一つ手間にはなりますが、

地衿を少し引っ張りながら縫い代をたたみ、裏の地縫い線を目安にしながら一度”しつけ縫い”をしておきます

これで、安心して反対側から、落としミシンを入れられます

ということで 完成品はこんな感じ

スロートタブも反対面をコーデュロイにして。

それと、ウェストのゴム絞りも固定式だったのを簡単なアジャスト仕様に。

ベルトトンネルを一度取り外してゴムを20㎝位継ぎ足したあと、10㎝位あまらかせてトンネル口より大きいエイトカンで留めると。

簡単な作業しかしていませんが、

Barbour風ということで、印象がかなり変わったのではないでしょうか?

(衿に真鍮ゴールドのスナップを打ち付けたら、よりぽくなりますね)

また逆にBarbourのボディにもこのミリタリーなデザインがないので、

これはこれで欲しいという人も出てきそうな。勝手に自画自賛

さらに本気なら、ワックスを塗り込んで、オイルドに仕上げるのがよりBarbour風ですが

まぁ臭いもつくし、周りの人にも迷惑がかかるということで、今回はスルー

Barbourの専用オイルを購入して、一度チャレンジはしてみたいですけどね・・

着用スタイリングはインスタグラムにて公開です

ということで、リメイクな徒然でした

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